村上春樹が受賞する「エルサレム賞」について調べてみた
村上春樹が「エルサレム賞」という文学賞をを受賞するらしい。受賞スピーチもあるということで、ボイコットしろだのスピーチでイスラエル批判しろだのといった話も出てきている。過去の受賞者、運動家でもあるスーザン・ソンタグはかなり強烈にイスラエルの占領を批判する演説をやったらしい。
いま、この時期に、エルサレムから文学賞というと騒ぎにはなるだろう。でも、どんな文学賞なのかよくわからず、Wikipediaにもあまり詳しく書かれていない。そこでちょっと調べてみた。
イスラエル国際ブックフェア公式ページ(英語)からの情報
http://www.jerusalembookfair.com/main.html
http://www.jerusalembookfair.com/the_jerusalem_prize.html
選考委員会はエルサレム市長が任命。今回はハアレツ紙のDov Alfon編集長、ヘブライ大学のDwora Gilula教授、作家のエトガー・ケレット氏。
2月15日のフックフェア開始日に授賞式。伝統的に市長がエルサレムで受賞者に授与する。2009年受賞者(=村上春樹)はブックフェアへ参加の意向。
過去の受賞者はバートランド・ラッセル、オクタビオ・パス、V・S・ナイポール、J・M・クッツェー(以上はその後ノーベル文学賞)、シモーヌ・ド・ボーヴォワール、アーサー・ミラー、スーザン・ソンタグ、マリオ・バルガス・リョサ、ミラン・クンデラほか。
選考委員会の周辺情報
補足と雑感
ジェリーフィッシュは未見です。11月に当選した実業家出身の市長が選定にどの程度関わったのかはよくわからない。ハアレツ紙はパレスチナ側からもそれなりの信頼があり、しかしイスラエル企業としての限界をもつ、なるほど。
イスラエル側(新市長)が賞を政治利用しようとしている印象も受ける。授賞するのはエルサレム市長だ。運動家の方たちはそこに反応するのかもしれない。しかし、作家がそう簡単に利用されるものだろうか。作家には作品があり読者がいる。ヘブライ語にもアラビア語にも翻訳があるみたいで、村上春樹の場合はそこが強みなのだろう。http://en.wikipedia.org/wiki/Haruki_Murakami
一読者としては村上春樹氏の受賞スピーチには注目する。ただ運動家としてのものではなく、小説家としてあの土地の読者に語りかけることを期待している。その方が「政治的」にもずっと有効に違いないと思うから。それは、彼が唾飛ばして占領政策を指弾する姿は見物ではあろうけど。